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042-674-0855子宮は、頸部と体部に分かれています。子宮の入り口近くの3分の1の部分が子宮頸部で、残りの3分の2が体部です。(図1)
“子宮頸がん”とは、このうち子宮頸部にできるがんのことです。(図2)
いっぽう、子宮体部の内膜にできるがんを、“子宮体がん”といいます。
“子宮頸がん”は、子宮がん全体の6割ほどを占めています。一般的に「子宮がん検診」というと、「子宮頸がん検診」の事を示しています。
“子宮頸がん”と“子宮体がん”では、発生のメカニズムが異なります。“子宮体がん”の原因は、「女性ホルモン(エストロゲン)」と関係していますが、
“子宮頸がん”の原因の大部分は、性交渉で感染する「HPV(ヒトパピローマウイルス)」と関係があります。
HPVは、主に接触によって人から人へ移り、皮膚の微小な傷や粘膜から進入します。HPVには90種類以上の遺伝子の型があり、
そのうち性器に感染する型は40種類ぐらいで、“子宮頸がん”の原因になるハイリスク型と、
尖形コンジローマの原因になるローリスク型があります。つまりHPVは、ありふれたウイルスといえます。
性交経験のある若い女性の4割はハイリスク型HPVに感染しているというデータがありますが、
そのうち9割以上は自然に消失してしまいます。
ごく一部の人(10パーセント以下)が、ウイルスに持続的に感染し、数年の経過の後、“子宮頸がん”になると考えられていますが、
頸がんを発症する頻度は、HPV感染の1パーセント以下です。
HPVは、性交渉の経験ある女性なら誰でも感染することのある、ありふれたウイルスといえます。
しかし、最近の性交渉の低年齢化により、若い女性の“子宮頸がん”は増加傾向にあります。
統計的に見ても、39歳以下の若い女性の“子宮頸がん”が増加しており、若い女性のがんの中で“子宮頸がん”が死亡率1位となっています。
“子宮頸がん”の進行期分類は、0期から期に分類され、さらにから期は、それぞれa、bの2段階に分けられます。
自覚症状の無い0期、a期に“子宮頸がん”が発見されれば、ほぼ100パーセント治癒します。
ただ残念なことに20代の若い女性で「子宮がん検診」を受けている人は、全体の5パーセントほどです。
“子宮頸がん”は、セックス経験のあるすべての女性に発生する可能性のあるがんです。
パートナーができたら積極的に「子宮がん検診」を受けましょう。
現在、HPVに感染しているかどうかがわかる「HPV検査」は、簡単にできるようになりました。
この検査は「子宮がん検診」と同時に行うことができます。当院でも検査できますので、希望があれば相談してください。
また、近年ではHPVに対するワクチンが開発されました。このワクチンには2種類あり、1つは、
子宮頚がんからもっとも多く検出されるHPV16型および、18型の感染予防を目的としたワクチンです。
もう1つは、16型、18型の感染予防だけではなく、尖形コンジローマ(外陰のイボ)の原因である6型、
11型の感染を予防します。これらのワクチンは、HPVにすでに感染している人のがん化を予防することはできませんが、
未感染者に対してのHPV感染を予防する事ができます
多くの人が接種することにより、将来子宮頚がんの激減が期待されます。
また、子宮頚がん予防ワクチンは、すべての発がん性のあるHPVの感染を予防できるわけではないので、接種後も定期的な子宮がん検診は必要です。
子宮頸部の表面をこすって、細胞を調べる検査
結果は、以前はClass分類により判定していましたが、最近はベセスダシステムによる判定に変更しています。
子宮頸がんの前がん状態
軽度異形成ではがんに進展する可能性は5~10%
高度異形成ではがんに進展する可能性は約50%
高度異形成や上皮内がん(0期)の診断や治療のため、子宮頸部を円錐状にくり抜いて切除する